>> menu


 PROLUGUE -- ようこそ、ストーリーブルックへ -- 

       
 「昔、むかしあるところに・・・」
 小さいころに、日本や海外の昔話・童話を読んで育った人にはお馴染みのフレーズ。
 「白雪姫」、「赤ずきん」、「シンデレラ」を生み出した古典児童文学の先駆者グリム兄弟の
 作品は世界で最も有名といってもいいでしょう。
 これまで本やテレビ、映画など様々な形でリバイバルされています。

 ちなみに私が一番好きだったグリム童話は、「ヘンゼルとグレーテル」です。
 魔女をカマドのなかに押し込んでしまうなんて!グレーテルは私のヒーロー(笑)。
 子どもの頃、お話が好きだった方なら日本の昔話はもちろん、グリム童話だけでなく、
 イソップ物語やアンデルセンも有名どころでは記憶に残っているはず。
 ちなみに、「日本昔ばなし」は放送時に学校行く前によく観ました。「浦島太郎」って何気なく、
 ホラーにしか思えなかった時期があります(笑)。竜宮城に誘われても、断らなきゃと。

 童話をたくさん読んだのは、まず目から童話を楽しむ「ディズニー」の影響が大きいです。
 最初に観た作品は、「眠れる森の美女」だったかな。話も音楽もシンプルながら絵が美しい。
 VHS(ビデオテープ)時代でしたが、オーロラ姫とフィリップ王子の最後のダンスシーンは
 何度も観て、あのドレスの色がくるくる変わってくシーンで、目がハートに変わる、変わる(笑)。

 ディズ二ー界のカリスマ的悪役・魔女のマレフィセントも作品には欠かせません。
 原作「いばら姫」は、「赤ずきん」同様グリム童話とペロー童話集に収録されてます。

 2013年はグリム童話出版200周年を迎えたこともあり、「童話ブーム」はしばらく続きそうです。
 今後も、童話をベースにした映画が次々作られる模様ですが、ネタ切れか、ハリウッドは(笑)。
 傑作でも駄作でも、ファンタジーときたら何だかんだ観てしまうので、私は構いません。

 「ナルニア国物語」の著者
C.S.ルイスが残した名言のなかにこんな言葉があります。

 「大人になってから、童話に還れる時がくる」
 "Someday, you will be old enough to start reading fairy tales again."

 『ワンス・アポン・ア・タイム』の世界に足を踏み入れる方へ、ピッタリな言葉だと思います。


 ABC presents "Once Upon A Time" -- 童話ちゃんぽんドラマの秘密 -- 

      
  ABCスタジオ製作のドラマ『Once Upon A Time(原題)』はそんな童話ファンや
 ファンタジーが好きな大人と子ども向けのファミリードラマです。(私のなかでは、笑)
 物語は、現代。主人公エマ・スワンが
28歳の誕生日に突然目の前に現れた実の息子ヘンリーに
 一緒に家のある町まで来てほしいと頼まれるところから始まります。
 一度も訪れたことのない、名前も知らなかった町。やがてエマはその町に伝わる奇妙な話や
 住人の秘密、自分の出生の秘密が深く関わっていること知っていきます。

 「ストーリーブルック。ここは呪いをかけられた童話の登場人物の住む町。自分が何者なのか
  忘れてしまった住人たちは、歳をとらずにずっとここで暮らしてる。あなたじゃないと呪いは
  解けないよ。そういう運命なんだ」

  このドラマの魅力のひとつは、色んな童話のキャラクターの夢の共演を見られるだけでなく、
 ファンタジーの登場人物を「人間」として描いてくれたところです。「白雪姫」を題材にした作品は、
 白雪姫を「きれいなお姫様」としてだけ描くことが多かったけど、本作では人間味をもたせることで
 愛着をわかせてくれます。また、あのヘンテコなキャラクターの行動の裏には何があったんだろう?
 「悪」の女王はどうしてあんな風に振る舞うのか?など物語を読んだ後にもっと知りたくなるような
 ことを、「例えば、こういうことは考えられないか」と独自の新解釈で童話の裏側を描いてくれます。
  おとぎの国を描く場面では、多くのグリーンスクリーン(
CG)を背景に世界観が作られています。
 クオリティーは高くなくても、テレビで火を吹くドラゴンや妖精を見せてくれるだけで十分かと。

  製作は、
SFミステリードラマ『LOST』のチームによって手掛けられています。そのため、『LOST』でも
 見られたように本作では「現代」と「おとぎの国」を行き来するパラレル効果が見られます。
 最初のうちは混乱しそうだけど話が整理できれば問題なし。「現代」と「おとぎの国」がどう関わって
 いるのかを楽しみつつ、ドラマのカギとなるグリム童話の有名どころはおさえておいた方が良いかも。
 
ただし、童話の筋書きが分れば、思ったとおりに行きそうなところにも、突然オリジナルの解釈が
 飛び出したり、展開はなかなか読めない(笑)。視聴者をあれこれ惑わし、眠っていた想像力を
 呼び覚まして、せっせと働かせてさせてくれます。最大の魅力は、それ!

  グリム作品以外にも、「ピノキオ」、「美女と野獣」や「不思議の国のアリス」などファンタジー好きに
 とってはお馴染みのキャラクターが多数登場します。実際にエピソードとしてフィーチャーされなくても、
 「あれ?今のってもしかしてあの童話のキャラの話してた?」というような細かなネタが散らばってるので、
 自分のマニア度をチェックすることも醍醐味です。

  
ABCはご存知のとおり、ディズニー系列の会社にあたるので、ドラマにはディズニーで映画化された
 童話の「ディズニーメイド」も盛り込まれています。人によっては、あまりディズニーしすぎず、原作を
 リスペクトしてほしいとの声があるのも事実です。そう考えると、原作で語られていないところを描くのって、
 バランスの取り方がとても難しいこと。「美女と野獣」エピソードで「ベル」や「チップ」といった名前が
 もろもろ聞けたのは楽しかったです。

  今のところ、若いドラマながら大健闘していますが、どこまで頑張れるかは未知数。
 何となく、ヘンリー役ジャレッド君が声変わりした時点で、終了〜(笑)となる気がしないでもない。
 子どもの成長は早いもの・・・。
新シーズンも馴染みの童話が登場するも、私個人的には、もっと遊んでも
 問題ないんじゃないかなと思うくらい。というのも、お姫様と王子含め全体的に画面が「白」すぎ(笑)。
 
もっと多様性がほしいんだけどな。今後に淡い期待を抱くことにしましょう。

  嬉しいことに、2013年秋BSプレミアムにて、日本でもテレビ放映が決まりました!ガッツポーズ。
 放映されるとしたら、やっぱり
CSにもっていかれるような予感がしていたのだが、BSで観られるので
 喜ばしいこと、この上ないですヽ(*´∀`)ノ

 2013.08.25.(最終更新日)